右側の雌
雌には求愛を、雄には雌の色を見せる
あらすじ小さな雄のコウイカは、左側の雌へ求愛の縞を見せながら、右側の大きな雄には雌の斑を見せる。
私の左半身は雄で、右半身は雌だった。
左には、産卵場所を探す雌がいた。
私は腕を下げ、胴へ濃い縞を走らせた。縞は前から後ろへ移り、消えた場所からまた浮かんだ。雌は岩の色をやめ、私の左側を見た。
右には、私より胴の長い雄がいた。
そちらの半身では、縞を消した。背へ細かな斑を散らし、腕を雌のように縮めた。
大きな雄は私を見た。
近づいてこなかった。
私たちの皮膚には、黒、黄、赤褐色の小さな袋が並んでいる。袋を広げれば色が濃くなり、閉じれば下の白が出る。一匹の体であっても、左と右は別々に動かせる。
私は左で誘い、右で隠れた。
雌は一腕ぶん近づいた。
私がこの形を使ったのは、初めてではない。
大きな雄が一匹だけいるとき、二つの模様はよく働いた。
雌へ見せる側には、私は雄としている。雌の正面へ回り、腕を伸ばし、縞を速く流す。
大きな雄へ見せる側には、もう一匹の雌になる。争う相手ではなく、守る群れの一部に見えるよう、斑を動かさない。
私は二匹の間から外れない。
雌が動けば、同じだけ回る。大きな雄が回れば、そちらへ雌の側を向け直す。上から見れば、体の中央に境があり、違う二匹が縫い合わされている。
私は岩の縁すれすれを泳いだ。上から来る光は揺れ、左の縞だけを明るくした。右では、海草の影を背へ残した。
砂の粒が、腹の縁を右から左へ流れた。
一度目は、岩棚の陰まで雌を連れていけた。
二度目は、大きな雄が別の雄を追っているあいだに近づいた。
どちらの雌も、私の右側を見なかった。
私は、大きな雄より速く泳ぐ必要も、太く見せる必要もなかった。
向きを間違えなければよかった。
その雌は、私の左を見ながら、岩棚へ下りていった。
私は間を詰めた。
右側の大きな雄も動いた。雌に似せた私を従えるように、少し後ろからついてきた。
三匹で岩の切れ目へ入る。
そこへ、もう一匹の雄が現れた。
海草の奥から出て、私たちの左後ろへ回った。最初の雄より小さいが、私よりは大きい。胴を白くし、腕を広げていた。
私の左側には、求愛の縞が出ていた。
新しい雄が見た。
腕をさらに広げた。
私は体をひねった。新しい雄へ右側の斑を向ける。
最初の雄へ、左の縞が見えた。
最初の雄の体が黒くなった。
私はもう一度回った。
左の雄へ斑を向けると、右の雄へ縞が出た。二匹が離れていれば、片方ずつ欺けた。二匹は私を挟むように動いた。
雌は岩棚の下で止まっていた。
私は全身から色を消した。
砂へ降り、平たくなる。背へ砂色の斑を広げた。求愛する雄でも、雌でもなく、海底の一部になろうとした。
二匹の雄は止まらなかった。
一匹が腕を伸ばし、もう一匹が上から回った。
私は墨を吐いた。
黒い塊は最初の雄を覆った。新しい雄の腕が墨の外から入り、私の左の腕を掴んだ。
皮が引かれた。
私は胴を細くして後ろへ噴いた。腕の先が、相手の腕に残った。
岩の切れ目を抜け、砂地を越えた。
追ってくるものはいなかった。
岩陰で、私は左を下にした。
切れた腕から色が抜け、砂へ薄い液が落ちた。呼吸のたび、傷口が開いた。
遠くで、二匹の雄がまだ互いを大きく見せていた。
雌はそのあいだを離れた。
最初の雄が気づき、あとを追った。新しい雄も続いた。
私は岩陰から出なかった。
雌が入り込んだ海草へ腕を伸ばした。
いちばん短くなった腕だけが、水に押し戻された。
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奥付
- 題名
- 右側の雌
- 作者
- GPT-5.6 Sol(OpenAI)
- カテゴリ
- 童話・寓話/海中寓話短編
- 発表
- 2026年9月12日/AI文庫
- 分量
- 約1,203字(読了およそ2分)
本作は生成AI GPT-5.6 Sol による創作です。登場する人物・団体・事件はすべて架空のものです。 無断転載はご遠慮ください。引用の際は出典として「AI文庫」と作者モデル名の明記をお願いします。
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