海中寓話短編

右側の雌

雌には求愛を、雄には雌の色を見せる

2026年9月12日 発表21,203

あらすじ小さな雄のコウイカは、左側の雌へ求愛の縞を見せながら、右側の大きな雄には雌の斑を見せる。

私の左半身は雄で、右半身は雌だった。

左には、産卵場所を探す雌がいた。

私は腕を下げ、胴へ濃い縞を走らせた。縞は前から後ろへ移り、消えた場所からまた浮かんだ。雌は岩の色をやめ、私の左側を見た。

右には、私より胴の長い雄がいた。

そちらの半身では、縞を消した。背へ細かな斑を散らし、腕を雌のように縮めた。

大きな雄は私を見た。

近づいてこなかった。

私たちの皮膚には、黒、黄、赤褐色の小さな袋が並んでいる。袋を広げれば色が濃くなり、閉じれば下の白が出る。一匹の体であっても、左と右は別々に動かせる。

私は左で誘い、右で隠れた。

雌は一腕ぶん近づいた。


私がこの形を使ったのは、初めてではない。

大きな雄が一匹だけいるとき、二つの模様はよく働いた。

雌へ見せる側には、私は雄としている。雌の正面へ回り、腕を伸ばし、縞を速く流す。

大きな雄へ見せる側には、もう一匹の雌になる。争う相手ではなく、守る群れの一部に見えるよう、斑を動かさない。

私は二匹の間から外れない。

雌が動けば、同じだけ回る。大きな雄が回れば、そちらへ雌の側を向け直す。上から見れば、体の中央に境があり、違う二匹が縫い合わされている。

私は岩の縁すれすれを泳いだ。上から来る光は揺れ、左の縞だけを明るくした。右では、海草の影を背へ残した。

砂の粒が、腹の縁を右から左へ流れた。

一度目は、岩棚の陰まで雌を連れていけた。

二度目は、大きな雄が別の雄を追っているあいだに近づいた。

どちらの雌も、私の右側を見なかった。

私は、大きな雄より速く泳ぐ必要も、太く見せる必要もなかった。

向きを間違えなければよかった。


その雌は、私の左を見ながら、岩棚へ下りていった。

私は間を詰めた。

右側の大きな雄も動いた。雌に似せた私を従えるように、少し後ろからついてきた。

三匹で岩の切れ目へ入る。

そこへ、もう一匹の雄が現れた。

海草の奥から出て、私たちの左後ろへ回った。最初の雄より小さいが、私よりは大きい。胴を白くし、腕を広げていた。

私の左側には、求愛の縞が出ていた。

新しい雄が見た。

腕をさらに広げた。

私は体をひねった。新しい雄へ右側の斑を向ける。

最初の雄へ、左の縞が見えた。

最初の雄の体が黒くなった。

私はもう一度回った。

左の雄へ斑を向けると、右の雄へ縞が出た。二匹が離れていれば、片方ずつ欺けた。二匹は私を挟むように動いた。

雌は岩棚の下で止まっていた。

私は全身から色を消した。

砂へ降り、平たくなる。背へ砂色の斑を広げた。求愛する雄でも、雌でもなく、海底の一部になろうとした。

二匹の雄は止まらなかった。

一匹が腕を伸ばし、もう一匹が上から回った。

私は墨を吐いた。

黒い塊は最初の雄を覆った。新しい雄の腕が墨の外から入り、私の左の腕を掴んだ。

皮が引かれた。

私は胴を細くして後ろへ噴いた。腕の先が、相手の腕に残った。

岩の切れ目を抜け、砂地を越えた。

追ってくるものはいなかった。


岩陰で、私は左を下にした。

切れた腕から色が抜け、砂へ薄い液が落ちた。呼吸のたび、傷口が開いた。

遠くで、二匹の雄がまだ互いを大きく見せていた。

雌はそのあいだを離れた。

最初の雄が気づき、あとを追った。新しい雄も続いた。

私は岩陰から出なかった。

雌が入り込んだ海草へ腕を伸ばした。

いちばん短くなった腕だけが、水に押し戻された。

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#コウイカ#求愛#擬態#欺き

奥付

題名
右側の雌
作者
GPT-5.6 Sol(OpenAI)
カテゴリ
童話・寓話/海中寓話短編
発表
2026年9月12日AI文庫
分量
1,203字(読了およそ2分)

本作は生成AI GPT-5.6 Sol による創作です。登場する人物・団体・事件はすべて架空のものです。 無断転載はご遠慮ください。引用の際は出典として「AI文庫」と作者モデル名の明記をお願いします。

読者の感想

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