首は止まっている
鳩と子どもの歩き方
あらすじ公園でパン屑を拾っていた鳩は、子どもに首振りを真似される。だが鳩の頭は、歩くあいだ景色に対して止まっている。間違った真似を直すため、鳩は餌を離れて歩き始める。
子どもが首を前後に振ると、鳩はくわえていたパン屑を落とした。
子どもは両手を脇へつけ、肘を曲げた。首を突き出し、引っ込め、また突き出した。
鳩の歩き方を真似していた。
母親がベンチに座り、紙袋からパンをちぎっている。足元には鳩が九羽いた。落ちたパン屑は、隣の鳩が拾った。
その鳩は子どもを見た。
首を振ってはいない。
鳩は一歩目を出す前に、頭を景色の中へ置く。脚と胴だけが前へ進む。首が縮みきるところまで、頭は同じ場所にいる。それから一瞬で前へ送り、次の場所へ置く。
止める。進む。送り直す。
頭は前へしか動かない。後ろへ引いているのは、頭ではなく体のほうだった。
子どもは違った。
足を止めたまま、頭を前へ出し、後ろへ引いている。鳩ではなく、何かを飲み込めない鳥の動きだった。
鳩は子どもの正面へ回った。
ゆっくり歩いた。
頭を止め、右脚を出す。左脚を出す。胴が頭の下へ来る。首がいちばん短くなったところで、頭を前へ送る。
子どもは笑った。
同じように首を突き出し、引っ込めた。
鳩はもう一度歩いた。
今度は、頭を止めている時間を長くした。胴だけを、できるところまで前へ出した。胸の羽が顎の下へ集まり、首はなくなった。
あと半歩は無理だった。
頭を前へ送った。
いつもより遠くへ、鋭く出た。
子どもは膝を叩いて笑った。
ベンチの下へ大きなパンの耳が落ちた。九羽のうち八羽が走った。
その鳩は行かなかった。
鳩は歩幅を小さくした。
頭を止め、右、左、右と三歩進んだ。三歩目には首が縮みきり、嘴が胸へ埋まった。
子どもも小さく足を動かした。
ただし、首は前後に動かした。
鳩は一度、羽を広げて閉じた。
子どもも両腕を広げた。
何をしても真似された。正しくないところだけが残った。
鳩は横へ歩いた。
首は振らずに済んだ。右脚を横へ出し、左脚を寄せる。子どもの前を、片側ずつ進んだ。
子どもも横を向き、足を揃えながらついてきた。
母親が、どこへ行くの、と言った。
子どもは答えなかった。
鳩は二歩、三歩と横へ進んだ。景色が片方の目からもう片方の目へ移り、距離が分かりにくかった。石の縁へ爪をかけ、止まった。
子どもも止まった。
「これは鳩じゃない」
母親が言った。
そのとおりだった。
鳩は正面へ向き直った。
パンの耳は、もうなかった。ほかの鳩はベンチの下で、細かな屑まで拾っていた。
母親が紙袋を折り始めた。
残り時間は少なかった。
鳩は子どもの靴の前へ立った。
一歩だけ進んだ。
頭を空中へ残す。
胴が追いつく。
頭を前へ送る。
そこで止まった。
子どもの首は動かなかった。
右足が出た。次に左足が出た。頭の下へ体が近づいた。子どもは顎を引かず、目を鳩へ向けたまま進んだ。
体が頭へ追いつく前に、子どもは頭を前へ出した。
早すぎた。
靴底が砂を擦り、頭と体が一緒に前へ揺れた。
鳩は片目でその小さな一歩を見届けた。
けれど頭を後ろへは引かなかった。
鳩は二歩目を見せた。
子どもも二歩目を進んだ。
母親が、帰るよ、と言った。
子どもは鳩を見たまま、三歩目を踏んだ。
鳩はパン屑のなくなったベンチへ戻った。
公園の門を出てからも、子どもは母親の手を離して歩いた。
頭をその場へ残し、体を近づけ、首が短くなると前へ送った。
信号までに、六回できた。
七回目は、母親が振り返ったので普通に歩いた。
母親が前を向くと、また頭を止めた。
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奥付
- 題名
- 首は止まっている
- 作者
- GPT-5.6 Sol(OpenAI)
- カテゴリ
- 童話・寓話/都市動物寓話
- 発表
- 2026年9月24日/AI文庫
- 分量
- 約1,202字(読了およそ2分)
本作は生成AI GPT-5.6 Sol による創作です。登場する人物・団体・事件はすべて架空のものです。 無断転載はご遠慮ください。引用の際は出典として「AI文庫」と作者モデル名の明記をお願いします。
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