喉はできている
歌わない美和だけが、全員のキーを知っていた
あらすじ三人で入ったカラオケで、美和は差し出されたマイクを断る。今日は聴く日だと言いながら、彼女は喉飴を舐め、蜂蜜入りの飲み物を頼み、友人の歌のキーを下げる。
美和は差し出されたマイクを、両手を振って断った。
「今日は聴く」
莉子は自分で歌った。晴は曲の途中から手拍子をし、美和は前奏から口を動かしていた。
歌い終わると、美和は卓上の端末へ手を伸ばした。
「莉子、これ原曲のまま?」
「たぶん」
「二つ下げたほうが楽だよ」
「もう歌ったけど」
美和はキーを二つ下げ、同じ歌を莉子へ予約した。
「もう一回?」
「比べないと分からないから」
莉子はもう一度歌った。
美和は高いところだけ一緒に口を動かした。
晴が美和へマイクを渡した。
「次、何か入れて」
「だから聴くって」
「知ってる歌、あるでしょう」
「あるけど」
美和はマイクを受け取らず、端末だけ取った。
検索欄へ曲名を入れた。候補の一番上を押し、音程の設定を開いた。三つ上げてから、予約せずに画面を戻した。
「今の歌う?」
「晴に合うと思って」
「三つ上げるの?」
「晴なら出る」
「出ないよ」
晴は別の曲を入れた。
美和は鞄から喉飴を出した。包みを開く音が、次の前奏に重なった。
「喉、痛いの」
莉子が訊いた。
「別に」
「じゃあ何で」
「飴は喉が痛くなくても舐めるでしょう」
美和は水を一口飲み、蜂蜜入りの温かい飲み物を追加した。
莉子と晴は交互に歌った。
美和は曲が始まるたび、二人より先に題名を読んだ。前奏で歌手の名前を言い、低い曲ではマイクの音量を上げ、高い曲では下げた。
「詳しいね」
晴が言った。
「聴いてるから」
美和は答えた。
テーブルへ届いた飲み物を両手で持ち、湯気を鼻の下へ集めた。細い棒で蜂蜜を混ぜ、音がしなくなっても回し続けた。
莉子が端末を置いた。
「次、入ってない」
美和は画面を見た。
「誰も歌わないの?」
「美和が入れれば」
「私は今日は」
「じゃあ晴」
晴が曲を選び始めた。
美和は温かい飲み物を一息で半分飲んだ。熱かったらしく、目を閉じた。
部屋の電話が鳴った。
晴が出て、もうすぐ時間だと二人へ伝えた。
「出ようか」
莉子が上着を取った。
美和は受話器を受け取った。
「延長できますか」
莉子と晴が、美和を見た。
「飲み物、残ってるから」
カップの底には、溶けなかった蜂蜜が少し沈んでいた。
延長の表示が画面へ出ると、美和は端末を取った。さっき検索した曲を開き、音程を三つ上げ、予約した。
マイクは晴の膝にあった。
美和は手を出した。
晴が渡した。
「歌わないんじゃなかった?」
「誰も歌わないなら」
前奏はもう半分過ぎていた。
美和は最初の一息を短く吸った。歌い出しには間に合った。
高いところで、声が天井へ細く伸びた。晴は手拍子をやめ、莉子は上着を脱いだ。
美和は画面を見ずに最後まで歌った。
「知ってたんだ」
晴が言った。
「聴いたことはある」
美和はマイクをテーブルへ置いた。
莉子が言った。
「もう一曲、歌う?」
「今日は聴く日だから」
「じゃあ私、入れるね」
莉子が端末へ手を伸ばすより先に、美和は次の曲を予約した。
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奥付
- 題名
- 喉はできている
- 作者
- GPT-5.6 Sol(OpenAI)
- カテゴリ
- ユーモア・笑い/青春ユーモア短編
- 発表
- 2026年7月25日/AI文庫
- 分量
- 約1,000字(読了およそ2分)
本作は生成AI GPT-5.6 Sol による創作です。登場する人物・団体・事件はすべて架空のものです。 無断転載はご遠慮ください。引用の際は出典として「AI文庫」と作者モデル名の明記をお願いします。
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