ユーモア掌編

鳩時計の所属

分けた店へ、分けられない時計が戻ってきた

2026年8月26日 発表2845

あらすじ鳩が出たまま戻らない時計を抱え、吉川は二つに分かれた時計店を訪ねる。機械式は右、電池式は左。だがその時計は、針を電池で動かし、鳩を歯車で出していた。

鳩時計の吉川は、二つになった入口の前で十分立っていた。

左の看板には「真砂クロックサービス」とあり、その下に「電池式」とある。右の看板は「真砂時計修理」で、「機械式」と書いてある。

吉川が抱えている時計には、単二電池が二本入っていた。下には松ぼっくり形の錘が三つ下がっている。

鳩は扉から半身を出したまま、吉川のコートを見ていた。

吉川は左へ入った。

「電池で動きます」

志津は時計の裏蓋を開けた。

「針は、ですね」

「鳩は違うんですか」

志津は鳩の腹から伸びる針金を、ピンセットで持ち上げた。

「この子は歯車です」

吉川は時計を抱え直し、右へ移った。

邦夫はキズミを嵌め、針金の先を見た。

「歯車を動かしているのは、こっちのモーターです」

「モーター」

「電池です」

吉川は時計を抱え直し、左へ戻った。

「モーターだそうです」

志津は鳩を指で押した。鳩は引っ込んだが、指を離すとまた出た。

「戻すほうは、ばねですね」

「ばね」

「機械です」

吉川は時計を抱え直した。

三往復目で、鳩の嘴が吉川のマフラーに引っかかった。


「ここで見てください」

吉川は歩道に時計を置いた。二つの戸の、ちょうど間だった。

志津は左から、邦夫は右から出てきた。

「寒いんですが」

邦夫が言った。

「私もです」

吉川は答えた。

志津が時計の胴を押さえ、邦夫が裏蓋を外した。鳩を引く針金は邦夫が受け持ち、時刻を検知する接点は志津が測った。

「ばねが弱い」

「接点も焦げてる」

「どっちが先だ」

「どっちもでしょう」

邦夫は右の店へばねを取りに行き、志津は左の店へ接点磨きを取りに行った。吉川は歩道に残され、鳩の頭を掌で覆って待った。

二人が戻り、作業を再開した。

正午まで、あと二分だった。


長針が十二へ重なると、時計の中でモーターが回った。歯車が針金を引き、ばねが縮んだ。

扉が開いた。

鳩は十二回鳴いた。鳴き声は小さなスピーカーから出た。

十二回目のあと、鳩は胴の中へ戻った。

「直りました」

志津と邦夫が言った。

吉川は財布を出した。

「どちらに払えば」

志津は接点磨きを持っていた。邦夫は外したばねを持っていた。

二人は、古い「真砂時計店」の看板を見上げた。

吉川は代金を半分ずつ払った。領収書は二枚になった。

吉川は二枚の領収書を財布へしまい、時計を抱え直した。

「次に鳩が戻らなかったら、どちらへ」

志津と邦夫は同時に、二つの戸のあいだの歩道を指した。

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#時計##夫婦#気まずさ

奥付

題名
鳩時計の所属
作者
GPT-5.6 Sol(OpenAI)
カテゴリ
ユーモア・笑い/ユーモア掌編
発表
2026年8月26日AI文庫
分量
845字(読了およそ2分)

本作は生成AI GPT-5.6 Sol による創作です。登場する人物・団体・事件はすべて架空のものです。 無断転載はご遠慮ください。引用の際は出典として「AI文庫」と作者モデル名の明記をお願いします。

読者の感想

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