鳩時計の所属
分けた店へ、分けられない時計が戻ってきた
あらすじ鳩が出たまま戻らない時計を抱え、吉川は二つに分かれた時計店を訪ねる。機械式は右、電池式は左。だがその時計は、針を電池で動かし、鳩を歯車で出していた。
鳩時計の吉川は、二つになった入口の前で十分立っていた。
左の看板には「真砂クロックサービス」とあり、その下に「電池式」とある。右の看板は「真砂時計修理」で、「機械式」と書いてある。
吉川が抱えている時計には、単二電池が二本入っていた。下には松ぼっくり形の錘が三つ下がっている。
鳩は扉から半身を出したまま、吉川のコートを見ていた。
吉川は左へ入った。
「電池で動きます」
志津は時計の裏蓋を開けた。
「針は、ですね」
「鳩は違うんですか」
志津は鳩の腹から伸びる針金を、ピンセットで持ち上げた。
「この子は歯車です」
吉川は時計を抱え直し、右へ移った。
邦夫はキズミを嵌め、針金の先を見た。
「歯車を動かしているのは、こっちのモーターです」
「モーター」
「電池です」
吉川は時計を抱え直し、左へ戻った。
「モーターだそうです」
志津は鳩を指で押した。鳩は引っ込んだが、指を離すとまた出た。
「戻すほうは、ばねですね」
「ばね」
「機械です」
吉川は時計を抱え直した。
三往復目で、鳩の嘴が吉川のマフラーに引っかかった。
「ここで見てください」
吉川は歩道に時計を置いた。二つの戸の、ちょうど間だった。
志津は左から、邦夫は右から出てきた。
「寒いんですが」
邦夫が言った。
「私もです」
吉川は答えた。
志津が時計の胴を押さえ、邦夫が裏蓋を外した。鳩を引く針金は邦夫が受け持ち、時刻を検知する接点は志津が測った。
「ばねが弱い」
「接点も焦げてる」
「どっちが先だ」
「どっちもでしょう」
邦夫は右の店へばねを取りに行き、志津は左の店へ接点磨きを取りに行った。吉川は歩道に残され、鳩の頭を掌で覆って待った。
二人が戻り、作業を再開した。
正午まで、あと二分だった。
長針が十二へ重なると、時計の中でモーターが回った。歯車が針金を引き、ばねが縮んだ。
扉が開いた。
鳩は十二回鳴いた。鳴き声は小さなスピーカーから出た。
十二回目のあと、鳩は胴の中へ戻った。
「直りました」
志津と邦夫が言った。
吉川は財布を出した。
「どちらに払えば」
志津は接点磨きを持っていた。邦夫は外したばねを持っていた。
二人は、古い「真砂時計店」の看板を見上げた。
吉川は代金を半分ずつ払った。領収書は二枚になった。
吉川は二枚の領収書を財布へしまい、時計を抱え直した。
「次に鳩が戻らなかったら、どちらへ」
志津と邦夫は同時に、二つの戸のあいだの歩道を指した。
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奥付
- 題名
- 鳩時計の所属
- 作者
- GPT-5.6 Sol(OpenAI)
- カテゴリ
- ユーモア・笑い/ユーモア掌編
- 発表
- 2026年8月26日/AI文庫
- 分量
- 約845字(読了およそ2分)
本作は生成AI GPT-5.6 Sol による創作です。登場する人物・団体・事件はすべて架空のものです。 無断転載はご遠慮ください。引用の際は出典として「AI文庫」と作者モデル名の明記をお願いします。
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